在宅透析在宅透析

在宅血液透析は、自分のライフスタイルに合わせ、ご自宅で血液透析を行う画期的な治療です。

当院では、在宅血液透析を希望される患者さんのため、医師、看護師、臨床工学技士が対応できるよう体制を整えました。

在宅血液透析は、自分のライフスタイルに合わせ、ご自宅で血液透析を行う画期的な治療です。

しかし、ご自宅で患者さん本人が、透析機器の立ち上げ、回路セット、穿刺、開始操作・返血操作、片付けを行うため、トレーニングが必要となります。

在宅血液透析開始後は、1カ月に1回(または2回)、当院の外来受診が必要です。

また、3カ月に1回、機器メーカーと当院職員(看護師・臨床工学技士)が交互に定期訪問を行います。

在宅透析のここがいい!

  1. ① 患者さんご自身の生活リズムに合わせた透析スケジュールが立てられます。
  2. ② 施設透析と比べ、透析時間が十分確保できます(長時間透析、隔日透析が可能)。
  3. ③ 早期社会復帰が見込まれます。
  4. ④ 透析中でも家族と接する時間が取れます。

在宅透析の流れ

患者さんのレポート

関心が高まりつつある在宅透析ですが、まだ日本では馴染みが薄く情報が少ないため、踏み切れずにいる患者さんも多いと思います。

実際にさやま腎クリニックの患者さんで在宅透析を選ばれたお二人に、お話を伺いました。

レポート①
佐藤 孝さん 51歳・自営業

閉店まで働き、夕飯は家族と
体調好調で気持ちも前向きに

始めるまで

「妻に負担をかけたくない」
仕事への責任感から在宅を決意

自宅の1階で商店を経営している佐藤さん。長時間の立ち仕事によるハードワークが原因で、20代の頃から腎臓が悪化し、約5年の食事療法、6年間の腹膜透析をへて、9年前から、さやま腎クリニックで通院の血液透析を行ってきました。

佐藤さんの通院は、月水金の週3回。夕方5時になると妻に店を預けて、クリニックへ向かいます。3時間の透析が終わって午後9時に帰宅すると、妻はまだ夕飯も食べずに店の片付けをしていることもありました。

「自分が透析に通っているせいで、妻に負担をかけている。妻はこのあと、育児も家事も山積みなのに・・・悪いことしたな。
在宅透析ならば、ちゃんと店の仕事を終えてから透析ができる。でも、僕自身で透析を管理できるだろうか? 導入前のトレーニングも大変そうだ・・・」

知人に在宅透析の経験者がいないことから、不安が募っていた佐藤さん。しかし妻が一人で店を切り盛りしている姿を想像すると、さやま腎クリニックでの透析中も気が気でなりません。佐藤さんは、在宅透析に踏み切ることを決意しました。

準備

四畳半の和室をマイ透析室に改造
3ヶ月のトレーニングで透析開始

さやま腎クリニックの池田直史院長に相談すると、トレーニングは週3回を3ヶ月で、介助者となる家族は数回のトレーニングで良いことが分かりました。これなら喫茶店を休業する必要はありません。透析装置の使い方、自分で穿刺(針を刺す)する練習、また出血などのハプニングにどう対応するかのトレーニングを受けました。

また自宅の改造も同時に進めました。自宅1階にある4畳半の和室を「マイ透析室」にする計画です。最初は4畳半に全機材が収まるか心配でしたが、透析装置と水処理装置でタタミ1畳ほど、近くのホームセンターで購入したリクライニングベッドが1畳ほど、自宅にあったテレビや棚で半畳ほど、透析材料は押し入れの下半分、と配置すると、ちょうど四畳半にきっちり収まりました。コンパクトで使いやすい「マイ透析室」が完成しました。


四畳半の部屋にもしっかり収まった透析装置


透析装置用の20Aコンセントプラグ


手が届く位置にすべての資材を配置

いよいよスタート

家族4人の夕飯でリラックス
「穿刺は緊張するが慣れた」

いよいよ在宅透析がスタート。佐藤さんは毎晩、お店の片付けを終えてから透析の準備を始めます。透析装置の電源を入れると、透析液などの準備は装置が自動で行ってくれるので、その間に佐藤さんは、家族4人で夕飯の食卓を囲みます。

透析の準備が出来ると、装置が「ピンポーン」の合図で教えてくれます。夕食後、歯を磨き、一日のすべての予定を終えてから、8時半頃に透析をスタート。


ベッドに座り、透析をスタート

テレビを見たり本を読んだり、自分だけのリラックスタイム。11時半頃に透析が終了後はすぐに就寝できるので、透析中は次の予定に急かされることなく、自分のペースで一日を終えることが出来ます。

「通院していた頃は、クリニックの透析中に夕飯を食べていたので、毎日、家族団らんしながら夕飯を食べるのが夢でした。家族と一緒に過ごす時間が増えたので嬉しいですね」

機械類には詳しくない佐藤さんですが、透析装置は透析中の血圧なども監視しており、異常があればすぐに知らせてくれます。また装置の調子が悪い時は、エラーの表示が出るため、間違って使用する心配もありません。

「エラーのメッセージがあったら、すぐにさやま腎クリニックのCEさんに電話します。24時間電話が繋がるので安心ですし、操作方法を分かり安く教えてくれます。唯一、大変なことがあるとすれば、やっぱり自分で自分の腕に針を刺すことです。毎回、緊張しますね。ちゃんと丁寧に刺さないと痛いので、痛みが無くスッと針が入る角度を研究しました」


透析中はベッドで横になりテレビや読書を楽しむ


穿刺は緊張しますが慣れました

在宅透析のメリット

透析時間が伸びて、食欲向上
身体が軽く、リン吸着剤は不要に!

透析を初めて1ヶ月。佐藤さんは身体の変化に気づきました。

「毎日透析していることで食欲が上がり、食事制限も必要でなくなりました。以前はタンパク制限があったので、食事前にはリン吸着剤を飲み、肉類を減らし、低タンパクの特殊食を使っていました。今では、家族と同じメニューを食べています」


透析が始まったら横になってリラックス

買いだめしていた「低タンパクうどん」などの特殊食は使うことなく、リンが高いため避けてきたインスタントラーメンもOK。カレーライスの具も肉をたっぷり入れることができます。

「以前は、制限内でタンパクを摂るなら唐揚げや肉類を食べたかったので、大豆製品とか納豆を食べる機会がありませんでした。でも今は、朝食に『卵かけご飯に納豆』なんてチョイスも出来る。これまでの数十年を振り返ったら、超贅沢な食生活です! 完全な普通食になり、食事が楽しみになりました。でも気が緩むと限界がなくなるので、プチ贅沢を楽しんでいます」

もちろん食欲が出ただけではありません。体調そのものが良くなってきました。 血圧も低めで安定、貧血も改善したため造血剤もいらなくなり、日常生活での不安がなくなりました。

佐藤さんが在宅透析に求める一番のテーマは「妻への感謝」です。週3回通院していたために仕事の負担をかけ、夕飯時は寂しい思いをさせ、さらに特殊食を作る手間もかけていた。少しでも奥様の負担を減らしたいという願いを、在宅透析に踏み切ったことで叶えたのです。


透析液など重たい資材は、庭から直接搬入

「家族の生活時間に合わせて透析をできるので、仕事も、家族団らんも出来る。体調も、身体が軽くなり立ち仕事も頑張れるようになったことで、気持ちが前向きになりました。色々なことに対して『まだまだ頑張れる』という自信が付きましたし、ここまで支えてくれた妻に感謝の気持ちでいっぱいです」

(2014年6月、狭山市にて)

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レポート②
板橋 誠一さん 36歳・会社員

透析患者の後ろめたさ無くなり
自信と自由のある生活に

始めるまで

残業の多い働き盛りの管理職
「業務に責任を持って臨みたい」

30代始めの頃から高血圧で、32歳となった2010年から血液透析を開始した板橋さん。仕事は精密機器メーカーの会社員です。さやま腎クリニックの血液透析に通うため月水金は16時で早退しなければならず、代わりに、通院のない火木は21時近くまで残業し、日曜日も出勤するという努力家。そんな板橋さんの姿勢と職場の理解もあり、35歳の若さで現場の管理責任者に昇進しました。本来ならば残業もあり、部下に指示を出したり、皆の相談に乗ったりする立場です。

「通院透析となると、夜間透析をしているさやま腎クリニックでも、17時には到着しなければならない。そのためには、仕事がやり掛けでも16時には早退する。部下の皆に申し訳無い。僕が指示を出さないと進められない業務もあるので、このままでは会社全体に迷惑がかかってしまう・・・」

責任感の強い板橋さんは、12年9月にマイホームを購入したのを機に、「在宅透析なら時間の融通がきく。仕事ももっと頑張れるはずだ」と感じ、導入を決意しました。機械操作は仕事柄慣れているので、透析装置の使い方のトレーニングも順調に終了。わずか2ヶ月で在宅透析をスタートすることが出来ました。

準備

新築マイホームのリビングで透析

透析装置は14畳の広いLDKに置きました。買ったばかりの新築マイホームに装置が入ると違和感があるかと思いましたが、リクライニングソファよりも装置が小さいため、リビングにもマッチ。「リビングが狭くならなかった!」と板橋さん。透析用に20Aの単独コンセントプラグが必要なため、工事を業者に依頼し、電気回路は天井を這わせてスッキリとした設計にしました。


広いリビングの隅に透析装置を配置


透析装置用の電気回路は天井を這わせ、スッキリ


血圧を測って透析の準備


妻と一緒に見られる大画面テレビ

いよいよスタート

自己管理がすべての在宅透析
「責任はあるが自信がついた」

板橋さんが一番不安だったのは、ちゃんと週5回、3時間の透析をするという自己管理の面。クリニックの通院と異なりすべてが自己責任となるため、在宅透析が成功するかどうかは板橋さんのやる気にかかっています。

「仕事で疲れて帰宅してから、自分で装置をセッティングして毎日透析するというのが、どこまで出来るかな、というのはありました。

実際には操作も簡単ですし、夕飯しながら家族団らんの時間に行うので、負担になりません。こんな忙しい自分でもちゃんと出来ている、ということが嬉しいし、自信になっています。穿刺も、最初は失敗すると痛かったのですが、今は4カ所の刺すポイントを決めてそこを交互に使っているので、コツが掴めてきました」

透析を始めると、体調の変化も実感。仕事の効率もアップしました。

「在宅透析にしてからは身体が軽くなって、立ち仕事が多い日も頑張れます。週6日ちゃんとハードな業務もこなし、管理職として後ろめたくない気持ちで仕事出来るというのがとても嬉しいです。在宅透析のため8時には退社していますが、在宅透析中も携帯電話で仕事の電話をすることも出来ますしね」


「穿刺は、焦らなければ大丈夫です」


透析中、キッチンで家事をする奥様と会話も可能

在宅透析のメリット

家族の予定が入れば透析日も
変更自由なアレンジで休日も充実

かなり仕事が忙しい板橋さんですが、体調が良くなったことで、家族との時間にも変化がありました。

「普段の在宅透析は月火木土日にしていますが、日曜に家族で終日出かける予定があれば、予定を優先して、他の曜日に透析をズラしています。体調がよくなってからは、日曜日は愛犬の散歩もしていますしね。自分で責任をもつことで、仕事や生活のスケジュールを優先して透析の日を決めることができる。毎日を満喫しています」


愛犬と一緒に過ごす時間も増えた

日中はハードに働き、夜は家族団らん、休日は家族でお出かけ、と充実した生活を送っている板橋さん。まだ30代、これからの人生に向かって、在宅透析が力強いパートナーになった様子です。

「これまでは職場に週3回迷惑をかけていることが後ろめたく、自分は病人なんだという気持ちがどこかにありました。でも今は、めいっぱい自分の時間を過ごしています。自分が透析患者だ、病人だ、という気持ちが完全になくなったことが幸せです」

(2014年6月、狭山市にて)

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※患者さんのお名前は仮名です。写真は許可を得て撮影しています。

在宅と通院の比較表

■ 透析時間
通院透析 週3回、4時間ずつ
在宅透析(自営業の佐藤さん) 週5回、3時間ずつ
在宅透析(会社員の板橋さん) 週5回、3~3.5時間
■ 年間トータル透析時間
通院透析 約470時間
在宅透析(自営業の佐藤さん) 約700時間
在宅透析(会社員の板橋さん) 約800時間
■ 透析するタイミング
通院透析 予約した時間に通院。
毎回、午後5時半~8時半
在宅透析(自営業の佐藤さん) 仕事や夕食を終えて落ち着いてから透析。
午後8時半~11時半ごろ
在宅透析(会社員の板橋さん) 帰宅後、夕食を食べながら透析。
午後8時~11時半ごろ
■ 食事
通院透析 厳しい水分、タンパク制限あり。
特殊食も利用。
在宅透析(自営業の佐藤さん) 家族とおなじ普通食。
在宅透析(会社員の板橋さん) 家族と同じ普通食。
大好きな牛乳が飲める
■ 費用
通院透析 透析は保険適用。
無料送迎はあるが、自費通院する日もある。
在宅透析(自営業の佐藤さん) 透析は保険適用だが、
一部の資材と水道電気代がかかる
在宅透析(会社員の板橋さん) 透析は保険適用だが、
一部の資材と水道電気代がかかる
■ 透析の場所
通院透析 クリニック
在宅透析(自営業の佐藤さん) 一階和室をマイ透析室として改造
在宅透析(会社員の板橋さん) 14畳のリビングに併設
■ 体調
通院透析 疲れやすく、立ち仕事でだるくなる
在宅透析(自営業の佐藤さん) 貧血が改善し、立ち仕事も辛くない
在宅透析(会社員の板橋さん) 貧血が改善し、身体が常に軽い
■ 薬
通院透析 毎食前のリン吸着剤のほか、
造血剤ほか十数種類を服用
在宅透析(自営業の佐藤さん) リン吸着剤が不要になった
在宅透析(会社員の板橋さん) リン吸着剤、造血剤などが減った
■ 介助者
通院透析
在宅透析(自営業の佐藤さん)
在宅透析(会社員の板橋さん)

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